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語り継がれてきた物語があります。いつの時代にも世の中に響いてきた音楽があります。今回は、明治の文豪・夏目漱石の「我輩は猫である」とプロコフィエフ作曲「ピーターと狼」をKATARIBEバージョンでお届けいたします。日本文学とロシアの音楽の世界を「KATARIBE」メンバーが時空を超えて皆さんに語りかけます。 どうぞお楽しみください。

KATARIBE

第一部 私は猫・吾輩は猫

「3つのジムノペディ」より第2番

サティ

フランス出身の作曲家。モンマルトルのカフェ・コンセール『黒猫』に集う芸術家の1人となり、ドビュッシーやコクトー、ピカソらと友好を深める。作曲した作品に奇妙でありえないようなタイトルをつけたり、曲自体も演奏者を困惑させるような作りにしたりと、「音楽の異端児」「音楽の変わり者」と呼ばれる。 ジムノペディは全3曲で構成され、各曲ずつに「どんな気持ちを持って演奏するのか」が、音楽用語で指示されており、第2番は「Lent et triste(ゆっくりと悲しさをこめて)」とある。

吾輩は猫である

夏目漱石

物語の語り手は、珍野(ちんの)家で飼われている雄猫。彼に名前はなく、自分のことを吾輩と呼んでいる。生まれてすぐに捨てられた吾輩は、生きるために迷走しているうちに珍野家にたどり着く。家主である中学の英語教師、珍野苦沙弥(くしゃみ)は変人で、胃が弱く、ノイローゼ気味で、なにかと苦労が絶えない。

30の子供ための小曲集 op,27

カバレフスキー

小学校の運動会のBGMでお馴染みの「ギャロップ(道化師のギャロップ)」の作曲家がロシアのサンクトペテルブルク出身、カバレフスキーである。子供向けに優れた作品を残した現代の作曲家の一人と看做されていて、音楽活動に対してソ連から受けた名誉は数多い。

カンツォネッタ

ガブリエル・ピエルネ

マスネに作曲を、フランクにオルガンを学び、印象主義とロマン派の両方を兼ね備えた作風を持ち味としたピエルネは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて指揮者としても活躍しながら多くの作品を残しました。今日演奏する「カンツォネッタ」はクラリネットの為に書かれた曲ですがフルートのレパートリーとなっています。フランスのエスプリを感じさせる軽やかで自由な曲想は、表情がコロコロと変わりまるで子猫が遊んでいるみたい?

私は猫でございます

KATARIBE劇場

美しいメゾソプラノ歌手ワレンティーナは記憶をなくしてしまい、自分のことを断片的にしか思い出せず、自らの名前さえわかりません。でもなぜか、日出づる国から来た、ターニャのことだけは覚えています。ワレンティーナの記憶の中では、小さくて鈍臭いターニャですが、今は立派な歌手に成長しています。ターニャは何とかワレンティーナの力になりたいと頑張ります。 レッスン室の中で「ミ??」としか歌えなかった頃のことを思い出させ、ターニャのデビューとなった舞台を再現しようと試みます。

1. グラント船長の子供たち
ドゥナエフスキー

ジュール・ヴェルヌの冒険小説を映画化した、1936年のソ連映画『グラント船長の子供たち』の挿入歌
〈1番〉
勇敢な船長がいた
彼は多くの国を旅した、
そして何度も彼は海を耕した。
彼は15回沈んだ、
サメに囲まれて死にかけた。
でも、彼は瞬きさえしなかった。
苦難の時も、戦いの時も
彼はどこでも自分の歌を歌った:
「船長、船長、笑顔を見せて、
だって、笑顔は船の旗だから、
船長、船長、頑張って、
海を征服するのは勇敢な者だけ!」
〈2番〉
でもある日、船長
遠い国にいた時
普通の男の子のように恋に落ちた。
彼は15回顔を赤らめた、
どもって、青ざめた、

でも、彼は微笑むこともできなかった。
彼は暗くなり、痩せこけた、
そして、誰も彼に親しく歌うことはなかった:
「船長、船長、笑顔を見せて、
だって、笑顔は船の旗だから、
船長、船長、頑張って、
海を征服するのは勇敢な者だけ!」

2. 猫の二重唱
ロッシーニ

「二匹の猫の滑稽な二重唱」なんと!歌詞は猫の鳴き声「ミャーオ」のみ。終始、二人の歌手(猫)の会話?対決?二人はどんな会話をするのでしょうか?

3. ワーニカとターニカ(ワーニャとターニャ)
ダルゴムィシスキー

小さな村にターニカが住んでいた、ワーニカがターニカに恋をした
ワーニカはターニカの隣に座り、ターニカはワーニカに言う
ターニカがワーニカに言う:
「ワーニカ、愛しい鷹、ターニカに歌を歌ってワーニカ!、ターニカに歌を歌って!」
ワーニカは笛を取り、ターニカに歌を歌う。

よもやま話

明治の文豪・夏目漱石が生まれたのは、実は明治ではなく江戸時代の終わり、1876年大政奉還の年。 英語の才能に恵まれ、現在の東京大学の英文学科に進み、大学を出た後は政府からイギリスへの留学を命じられます。「イギリス留学」と聞くと華やかな印象を受けますが、その内容は過酷なものでした。留学中の漱石は神経衰弱に陥り、精神的に不安定になっていきました。 そして帰国後最初に書かれた小説が、「吾輩は猫である」です。 漱石は猫を飼っていたのですが、最後まで猫に名前を付けることはありませんでした。強いて言うならその飼い猫の事を「ねこ」と呼んでいたため、猫の名前は「ねこ」でした。「吾輩は猫である」に出てくる猫は、この飼い猫がモデルだと言われています。処女作「吾輩は猫である」を執筆したのは38歳、漱石が小説を書いていたのはわずか10年間でした。

第二部 動物たちの森

狩りの歌(無言歌集より)

メンデルスゾーン

裕福で恵まれた環境で生涯を過ごしたメンデルスゾーン。「ヴァイオリン協奏曲」「夏の夜の夢」「無言歌集」など、今日でも広く知られる作品を残した。
ピアノ独奏用に“Lieder ohne Worte”(言葉のない歌)と題して出版されたアルバム「無言歌集」は全48曲からなり、当時のドイツ・ロマン派音楽の中で作曲されたピアノの性格的小品集の中でも、最もよく知られた傑作の1つとなっている。
自身が標題をつけた作品は『ヴェネツィアの舟歌』3曲、『デュエット』、『民謡』の5曲のみ。また、『葬送行進曲』、『紡ぎ歌』、『子守歌』の3曲については、『春の歌 Frühlingslied』と同様に、楽譜の冒頭に記された発想標語から命名されている。
残りの作品については、楽譜出版社などが曲想から独自に命名した標題が用いられている。

雲雀の声は高らかに

リムスキー=コルサコフ

雲雀の歌がさわやかに響く
春の花よりも明るく響く
心は喜びで一杯だ
空は美しさで一杯だ

苦悩からの束縛を打ち破り
鎖を断ち切るのだ
新しい命が現れる
勝利の潮とともに

そしてみずみずしく若々しい響き
新たな力強い和音が鳴る
張り詰められた弦のように
天と地上に張られた弦のように

かっこう

チャィコフスキー

「君は街から飛んできた。教えて、私たちについてどんな噂がある?」
(ムクドリにカッコウが一度尋ねた)
「街の人々はどう噂してる?夜啼きウグイスの歌は?私はとても興味があるの」
《庭でトゥルルと歌声が聞こえると、街全体が喜ぶ》
「ではヒバリは?」
《ヒバリの歌はとても多くの人を虜にする》
「本当?では、ツグミへの反応は?」
《そうね、みんなではなくても、褒める》
「もうひとつ聞きたい、もしかして、私(かっこう)について聞いたことは?」
《あなたのことは、実は、誰も… 誰も噂にもしない!》
「怒怒っ!もしそうなら」、カッコウは叫んだ。
「見返してやる!100年の間、力の限りずっと歌い続けてやる!!」
「カッコウ、カッコウ、カッコウ……………」

赤いサラファン

ワルラーモフ

サラファンとはロシアの女性がブラウスの上に着るロシアの民族衣装のこと。
娘の婚礼衣装として赤いサラファンを縫う母親と、結婚なんてまったく興味が無い娘。若さに溢れ楽しくはしゃいでいられるのは、人生のほんの僅かな時間。そんな現実を自分の娘に切々と説く母親と、聞く耳を持たない娘の掛け合いの歌。
<1番:娘のセリフ>
赤いサラファンなんて縫わないで お母さん
そんなに手間かけたって無駄よ
髪を2本に編み分けるのはまだ早いわ
まだリボンを飾っていたいの
絹のベールなんてしたら
男の子から相手にされなくなっちゃう

<2番:母親のセリフ>
愛しい我が娘よ!
何て浅はかなんでしょう!
お前は一生小鳥のように
歌って過ごすつもりかい?
花々に舞うチョウチョじゃないんだから
どんな美しい花々もやがては色あせ
楽しかった遊びも次第に退屈になるんだよ

愛しい人どこへ?

ワルラーモフ

たったひとりで、私は何を生き、何を悲しむのか?

私のいとしい友、黒い瞳の、お前はどこにいる?

恋しさだけと生きたくない、残酷な友よ!

お前を追って遠い地に飛ぶ! 私のいとしい友、黒い瞳の、お前はどこにいる?

カリンカ

ロシア民謡

『カリンカ』は、ロシアの聖歌隊指揮者・民謡研究家イヴァン・ラリオーノフ作詞作曲による19世紀後半の曲。山地や丘陵地の明るい林や草原に生える低木ガマズミ(カリーナ)の愛称形。5月頃に白い花をつける。ロシアでは、ガマズミの白い花は花嫁の象徴とされる。

「私のカリンカよ 晩秋に色づく赤い果実」
カリンカ(ガマズミ)カリンカ
私のカリンカよ!
庭には私のマリンカ(エゾイチゴ)が
マリンカの実がある

小鳥たちの歌(オペラ「雪娘」より)

リムスキー=コルサコフ

鳥が集まった、歌手が群れになって集まった
鳥が座り、歌手が列になって座った
あなたの鳥は誰?あなたの歌手は誰? 
大きな 大きな鳥? 小さな 小さな鳥?
<ワシは司令官、太鼓持ち、 フクロウは司令官、黄色のブーツ、ガチョウは大貴族、アヒルは貴族、コガモは農民、スズメは奴隷

ナイチンゲール

ヨハネス・ドンジョン

ドンジョンはフランスのリヨンで生まれたフルーティストで、オーケストラでの活動の傍ら当時開発されたばかりのベーム式フルートの普及のために作曲も手がけました。フルートの学習者にとってテクニックを身につけるのに役立つ珠玉の小品をたくさん残しています。ベーム式への改良によって可能となった低い音域での豊かな響き、ダイナミクスのコントラスト、色彩感の変化を巧みに用いナイチンゲール(夜鳴き鶯)の鳴き声を表現しています。

ピーターとおおかみ

セルゲイ・プロコフィエフ

交響的物語『ピーターと狼』は、子供ための作品で、台本はロシアの民話を基にプロコフィエフ自身が書き、ナレーションと小編成のオーケストラのために作曲された。当時モスクワで設立された中央児童劇場(Moscow Children’s Music Theater)のナターリヤ・サーツから着想を得たものと言われ、初演もその劇場で行われている。

物語の登場人物(動物)は、それぞれのメロディがオーケストラの特定の楽器によって受け持たれ、オーケストラの楽器紹介の趣もある。

出演者

飯島 晶子
平岡 貴子
早川 枝里子
ワレンチナ・パンチェンコ
富澤 きらら
中村 正樹